いつも、会社の帰宅時刻は、遅いことが多いが、
まだ、暑さが残る9月頃でだったか、あたりは、まだ明るかった。
駅に向かうには、踏み切りを渡る必要があった。
渡り始めるや、警報が鳴り始め、進入防止バーが降り始めていた。
単線の踏み切りなので、急いで渡り終えたのだが、
乳母車を押す若いお母さんを追い抜いて渡ったことに気づく。
線路に、乳母車の車輪が引っ掛かってしまい、抜け出せないでいたようだ。
既に、進入防止バーは完全に降りていたが、再び、引き返し、
乳母車を両手でつかむと、簡単に外れ、お母さんと一緒に、踏み切りの外に脱出。
このような状況は、初めてであったが、緊急停止ボタンを探すより、
まず、直ちに行動したことが、良い結果につながった。
駅に近いため、電車の走行スピードが、遅かったので、回避できたと思われる。
取り残されたら、母子共に命を失っていただろう。
思い起こす度に、複雑な気持ちになるアクシデントだった。